一人の通行人が路地裏を歩いていた。一軒のビルの横に出たとき彼女は驚愕した。
「キャアアアアアアアアッ!!!!!!!」
ビルの前に一人の女性が倒れていた。彼女は女性に呼びかけるが、反応はない。
彼女は警察に通報した。
現場に駆け付けたサニーは遺体を調べると外傷はなく靴を履いていないことと更にビルの屋上には彼女の靴が残されていたことから飛び降り自殺と断定した。
サニーは遺族や関係者から事情を聴くと彼女は彼氏のことで非常に思い悩んでる様子だったというのだ。
二人はひょんなことで出会い、自然に交際に発展していった。そんなある日、彼女は彼にドライブデートをリクエストした。
しかし・・・
「俺免許持ってないから運転できないよ。」
彼は免許を取っていないので運転ができなかった。すると彼女は冷めた目でこう言った。
「免許取らないなら別れて!」
無免許を理由に別れ話を切り出された彼だが、彼にも言い分はあった。
「なんで免許ないからって別れなきゃならねえんだ!?確かに免許があれば行動範囲も広がるけどなもし俺が君と一緒にあおられたり事故に巻き込まれて怪我したり死んだりしてもいいのか?逆に俺が事故で相手を死傷させて捕まってもどの道別れるっていうんだろ?俺はそうなりたくないから免許は取らないようにしてるんだぞ!」
彼の言葉に一瞬動揺するも彼女の主張は変わらなかった。
「だったらそうならないように運転すればいい話でしょ?大体免許もないのに付き合うなんてありえないし!」
彼女の一言にしびれを切らした彼はその場を走り去った。
それからしばらくして彼女の家の前に見知らぬ車が現れた。運転席から出てきたのはなんと彼氏だった。驚く彼女に彼はこう言った。
「そんじゃドライブデート行くか。」
彼の一言に喜びを爆発させた彼女は彼の車に乗って家を出た。
念願のドライブデートを満喫した彼女はご満悦だった。
しかし数日後、テレビを見ていると交通事故のニュースが流れた。何と彼の運転する車が衝突事故にあい、彼は事故死してしまったのだ。
「私のせいだ。私が無理やり免許取らせたから彼は・・・わあああああああああん!!」
彼女は自分を責め泣き続けた。
しばらくして彼女は彼が搬送された病院を訪れると彼の遺族が現れた。自分を責める彼女を遺族は宥めた。
そして、葬儀に出た彼女は出棺の後火葬場での見送りと火葬後の収骨まで参加し、彼の冥福を祈った。
葬儀が終わり、彼女は元の生活に戻ったのだが、彼を失ったことで無気力になってしまい何事にも手がつかなくなってしまった。
やがて仕事もミスが続いて解雇されてしまい、再就職先を探すも今の状態では仕事に就けないと言われ、病院で診断してもらうことを勧められた。
その結果、彼女はうつ病と診断され、周囲のサポートを受けながら社会復帰を目指していたが、彼の幻影を見続けた彼女はビルの屋上に来ていた。
やがて靴を脱ぐと、端っこに立った。
「これでまた会えるね・・・」
彼女はそう言い残すとビルから飛び降りた。路地裏に落ちた彼女は即死だった。彼女の葬儀は彼と同じ斎場で営まれ、彼女の遺骨は彼と一緒の墓に埋葬されたのだった。
二人が埋葬された墓にはサニーがお参りに来ていた。
「向こうでは事故に気を付けるのよ。」
サニーはそう言い残すと墓地を後にしたのだった。
交通事故は常に身近に起こりうることであり、決して他人ごとではない。常に危険を意識することが事故の抑制につながることだろう。